意識の拡大がもたらすもの


私たち人間には、より大きな世界を知ることで、今までの世界が小さく感じられるようになるということがあります。

子供の頃は遠かった1kmが、大人になり行動範囲が広がると近く感じられるようになり、かつては長かった1年が、歳をとるにつれ短く感じられるようになるのは、同じ1つの空間や時間を評価する基盤となる人生経験の全体が膨らんだせいではないでしょうか?

経験を経ることにより、人の意識が見渡す範囲は拡大していきます。より大きくなった意識からながめる時間や空間は、相対的に小さく感じられるようになります。ある一つの出来事という”分子”が同じまま、蓄積された意識経験という”分母”が大きくなるため、そのインパクトは相対的に小さくなっていきます。

経験の浅い子供にとって大きな喜びや苦しみをもたらしたものも、経験を積んだ大人には、相対的にちっぽけなものに感じられるようになるのも、そうした事情によるのでしょう。

このことを押し広げていけば、究極的に視野の広がった存在にとって、末端で起きることはとても小さなものに感じられることでしょう。人間から見る地球は大きくても、銀河から見る地球はケシ粒以下のとても小さな存在になるのです。

しかし、だからといってその小さな存在に対する愛情が弱まるかというとそうでもありません。というのも、愛する力の大きさは往々にして意識の大きさに比例して拡大していくからです。意識が拡大するのに合わせ、愛の力もより大きく深く、すべてのものを包めるほどに広がっていく。それこそが、人が「成長する」ということではないでしょうか?

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